富岡製糸場」世界文化遺産のことなど

今朝(427日)の「道新」は、群馬県の「富岡製糸場」が、ユネスコの世界文化遺産に登録される見通しであることを報じていました。昨年の富士山に続くもので、この国の近代の歩みを象徴する建物であるだけに、とても喜ばしい事なのですが、過酷な製糸労働で倒れていった女性たちのことが思い出され、複雑な気持ちになりました。
山本茂美『あゝ野麦峠』は、日本最大の製糸王国である長野県諏訪地方に娘たちを送り出していたのが、飛騨の貧しい農村であったことを明らかにしました。娘たちの悲劇を山本薩夫監督が映画化しました。地井武男が、瀕死の大竹しのぶを背負って野麦峠を越える場面は、今でも印象に残っています。
「道新」は、来年夏の登録を目指す産業革命遺産についても触れていました。その一つに、長崎市の軍艦島があります。最盛期には、5千人を超える人々住んでいた炭鉱です。
最近出版された大沢在昌『海と月の迷路』は、この島を舞台にしたミステリーでとても面白い作品ですが、この島にも語り尽くせぬ悲劇があったことを、韓水山『軍艦島』が、強制的に連行されてきた従軍慰安婦の悲劇として描いています。
この国の歴史の光と影を正当に直視することが、明日への一歩を確かなものにすることであると思うのです。

2014・4・27 会員M

4月5日映画「ファルージャ」はじまりました

4月5日(土)より札幌の映画館シアターキノで、「ファルージャ イラク戦争 イラク人質事件 --そして」(伊藤めぐみ監督)上映がはじまりました。11日まで1日1回16時半からです。
29歳の伊藤さん、機会あって企画が認められ、「ファルージャ」を完成させました。映画は2004年4月に起こった「イラン人質事件」の3人の日本人のうち、高遠菜穂子さん、今井紀明さんの現在を描いています。高遠さんはイラク支援の活動を続け、今井さんは大阪で通信制高校の生徒への支援活動のNPO法人の活動を行っています。それを伊藤監督は密着取材で具体的に伝えてくれていました。
伊藤監督冷静な製作姿勢で映画を作っていたことも実際に見てわかりました。小泉純一郎氏、川口順子氏などにもインタビュー申し込みをしましたが、応じてもらえなかった経過も映画で示されています。当時の日本政府関係者として柳澤恭二氏が登場、当時の状況、今の見解など語っているシーンがありました。柳澤氏の率直な発言、それが救いのひとつかもしれません。3人ともしっかり向き合おうという気持ちが伝わりました。取材に応じなかった人たちとは、えらい違いです。
同じ5日、地元NPO団体が今井紀明さん、伊藤監督を札幌に招き、講演会をあわせて行いました。14時から今井さんの講演、映画をはさんで夜に今井さん、伊藤監督などの講演でした。
3月30日の北海道新聞朝刊にそれらのスケジュールが報じられ、関心をもった私も、映画を含めて講演参加をしました。4月6日北海道新聞朝刊は、その内容などを報じています。
高校を卒業したばかりだった今井さん、今28歳の青年です。社会人としての活動に意欲的にとりくんでいる様子は、本人の口から具体的に話されました。いわゆる帰国後の「自己責任論パッシング」がいかにたいへんな試練だったかということ、それを乗り越えてきている状況の現在であること、今井さん本人が教えてくれました。私もたいへんうれしく今井さんの現在を受け止めました。同時に、当時のパッシングに的確な反論ができなくてたじろいだ自分のことを思い起こしました。今井さんのためにも高遠さんのためにも申し訳なかったとまた反省です。
映画「ファルージャ」、いろいろな意味でぜひ見ていただきたい映画でした。関心を持った方ご覧いただければ幸いです。シアターキノでの上映が終了しても、自主上映会いろいろなところで開いてほしいというのが、伊藤監督の希望、私も心がけたいと考えています。
2014年4月7日 会員UE