「イラク空自隊員、『事故隠し』と国提訴へ」

 

8月27日東京新聞(26日同紙スクープ記事に続けての記事のようです。一部他紙もインターネット上では後追い報道していました)記事見出しです。以下のことが報じられました。


「イラク空自隊員 『事故隠し』と国提訴へ


米国主導のイラク戦争で空輸を担うため、2006年に中東のクウェートへ派遣された航空自衛隊の三等空曹の男性が現地で米軍のバスにはねられ、後遺症の残る大けがをしていたことが分かった。男性は来月、空自が『事故隠し』に走り、まともな治療を受けられなかったとして国に損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こす。イラク特措法で派遣された自衛官が国を訴えるのは初めて。


男性は11年に依願退職した新潟市中央区関屋、無職池田頼将さん(40)。顔や腕に障害が残り、身体傷害者4級に認定された。


池田さんは06年4月、通信士として愛知県の小牧基地からクウェートのアリ・アサラム空軍基地に派遣された。事故は7月4日に米軍主催の長距離大会で発生。先頭を走っていた池田さんは軍事関連企業の米国人女性が運転する米軍の大型バスに後ろからはねられ、左半身を強打して意識を失った。


池田さんによると、空自衛生隊には治療設備がなく、首にコルセットをはめただけ。事故後3回連れて行かれたjクウェート市内の民間診療所では意思疎通ができず、まともな診察を受けられなかった。上官は防衛庁長官(当時)の現地視察の際などはコルセットを外すよう命令。事故から帰国までの二カ月弱、早期帰国の措置も取られなかった。公務災害補償の手続きも池田さんが指摘するまで行わないなど、事故を隠すような態度に終始したという。


帰国後、小牧市の病院で外傷性顎(がく)関節症と診断され、医師から『なぜ放置したのか』と聞かれたという。事故は陸上自衛隊のイラク撤収に伴い、空輸の対象が陸自から米軍に切り替わる直前に起きた。池田さんは『米軍とのトラブルを避けるため、事故はないことにされた』と話している。」


この報道、インターネットで知り、当然のことながらたいへん驚きました。活字ですでに報じられたものを、東京新聞のウェブで読んだわけですが、調査力を感じさせられた報道でした。


「天木直人のメールマガジン」、別にある天木さんのブログ(グリーン九条の会にリンクさせていただいています)と違って、有料読者対象のメルマガです。天木さんの率直な物言いを前から読者として感じてきました。今回の東京新聞のような注目すべき記事についてもそのメルマガが最初に知らせてくれました。


話代わりますが、8月28日北海道新聞朝刊に、元外交官孫崎享(まごさき・うける)氏の著作「戦後史の正体 1945-2012」(創元社 大阪)の広告が掲載されました。地元新聞としては最初の広告のように思いますが、それによるとなんと発売1か月で、もう10万部を超える売れ行きだそうです。この本も最初天木メルマガから教えられたもので、おかげでいちはやく読むことができました。孫崎氏は、イラク戦争時自衛隊派遣反対の意見を防衛大教授の立場で持ち、それ以降の学びの中で、そのことが間違っていなかったことを改めて確信された人でした。ツィッターもやっており、それは注目度の高いものとか。覗きましたが、「戦後史の正体」と同じく、率直な直言ツィッターでした。


九条のことを意識してこれまでコツコツとやってきたこと、私の視野と発想も広げてくれました。得る情報の幅もひろがりました。天木メルマガ、孫崎ツィッター、もそうです。今回のニュース、イラク派遣自衛官は死んだりすることなく(殺しもせず)無事に帰ってきた、それは何より、と思い込んでいた私に衝撃を与えました。九条や平和に関して改めて見つめていきます。


2012年8月28日 会員UE