富岡製糸場」世界文化遺産のことなど

今朝(427日)の「道新」は、群馬県の「富岡製糸場」が、ユネスコの世界文化遺産に登録される見通しであることを報じていました。昨年の富士山に続くもので、この国の近代の歩みを象徴する建物であるだけに、とても喜ばしい事なのですが、過酷な製糸労働で倒れていった女性たちのことが思い出され、複雑な気持ちになりました。
山本茂美『あゝ野麦峠』は、日本最大の製糸王国である長野県諏訪地方に娘たちを送り出していたのが、飛騨の貧しい農村であったことを明らかにしました。娘たちの悲劇を山本薩夫監督が映画化しました。地井武男が、瀕死の大竹しのぶを背負って野麦峠を越える場面は、今でも印象に残っています。
「道新」は、来年夏の登録を目指す産業革命遺産についても触れていました。その一つに、長崎市の軍艦島があります。最盛期には、5千人を超える人々住んでいた炭鉱です。
最近出版された大沢在昌『海と月の迷路』は、この島を舞台にしたミステリーでとても面白い作品ですが、この島にも語り尽くせぬ悲劇があったことを、韓水山『軍艦島』が、強制的に連行されてきた従軍慰安婦の悲劇として描いています。
この国の歴史の光と影を正当に直視することが、明日への一歩を確かなものにすることであると思うのです。

2014・4・27 会員M