今こそ「決意し」て、再出発の意志を固めよう!

「未来世代にのこすもの、私たちは何を『決意』したか」をテーマとして、今年も「九条の会:http://www.9-jo.jp/」講演会が東京・日比谷公会堂で2000名を越える参加者で開催されました。

哲学者の鶴見俊輔さん、作家の澤地久枝さん、憲法学者の奥平康弘さん、作家の大江健三郎さんの4名がそれぞれ30分程お話をされました。いずれも大変含蓄のある内容で、終了後に振り返ってみても胸に刻まれています。

澤地さんは、「地震列島の上で営む日本人の生活である。今、『運命共同体』の船に乗り合わせて、『世直し』、言い換えれば『革命!』、この国の姿を根本から変える方向へ舵を切るべく、原点とも言えるものが日本国憲法だと思う。戦争放棄の第九条と、生存権にかかわる第二十五条に力をもたせ、それを砦として世の中を変えてゆきたい。私たちが、原発からの放射能を制御する技術を持ち合わせていないことが明らかになった今、まず、全原発廃止の方向を目指す意思表示から。小田実は、『一人から始める』と書いたそう、しかし、『一人』ではない」、「『独立した個人の人格』こそが価値である」と、満場の聴衆に熱く語り掛けました。

4番目にお話をされた大江さんは、「井上ひさしさんが、この会ではいつもトリをつとめられて、ユーモアあふれるお話でした」と振り返り、やはり自分にはその役回りは荷が重いとも。「Articulate(アーティキュレイト):明瞭に話す」という言葉を引用して、はっきり物を言って抵抗する姿勢を大切にしたいと冒頭におっしゃっていました。

日本国憲法の前文に2回表現されている「決意した」に、特別の価値を見出したいと。加藤周一、小田実、井上ひさしが相次いで亡くなり、呼びかけた人の数は少なくなるけれど、7500を越える各地の「九条の会」は、それぞれの活動によって勢いを大きくしています。井上ひさしさんと同期の憲法学者・樋口陽一さんを紹介しながら、「立法事実:立法を必要とする情況」という言葉を引用し、戦争における「加害体験」としての憲法制定事実を思い起こすことの大切さも強調しました。1)とりわけ中国・朝鮮に対して、2)日本軍が国民に対して、3)軍幹部が兵士に対して、等の加害体験です。そして、今こそ「決意し」て、再出発の意志を固めよう!と結びました。

最後に事務局長の小森陽一さんが、「九条の会は今年の11月19日で7年を迎えます。ヒロシマ、ナガサキ、第五福竜丸、そしてフクシマへと続く、日本から世界への核廃絶の発信を、これからも一層強固に進めていきましょう」との呼びかけと御礼の言葉で、今年は終了しました。会場出口で、大江さん、澤地さん、小森さんにご挨拶も出来ました、3・11以降、また新たな出発です!

2011年6月7日 会員A